受験者の声#07

産地ビジョンを達成するぞ!

農事組合法人 八千代産直
坂入清史さん

1.タイトル:「産地ビジョンを達成するぞ!」

2016年に若手が中心となり、2026年に向けた産地ビジョンを作成しました。その中に、土づくりに取り組んで、品質が良くおいしい野菜を作り消費者から選ばれる産地となり、生産量・出荷量を増やして、親父たちの時代よりも産地を発展させる目標を掲げました。

親父たち(祖父たち)の時代は、堆肥を作り土づくりに取り組み、ぼかしを作ってじっくり作物育てたと聞いています。しかし、現在では周年出荷に追われ、堆肥作りに取り組む時間もありません。東日本大震災までは、福島から品質の良い堆肥を調達していたのですが、原発事故以来その堆肥は使えず、他の堆肥を探しても、自分の求める堆肥が中々手に入りません。栽培についても親父に教えてもらったこと、支持されたことを繰り返しているだけでした。このまま世代交代をしたら、自分たちの時代で産地が衰退してしまう、農業で生活が継続できなくなってしまうという危機感の一方で、親父たちを追い越さなければならないとも思いました。

親父たちは、長年の経験と勘で栽培していますが、それを教えてもらって繰り返しているだけでは、追いつくことはできても追い越すことはできません。良い物を作るには、どのようにすれば良いか?なぜその方法なのか?仕組みを理解して自分自身の農法を確立し、ビジョンを達成したいと思います。

2.内容

①八千代産直の紹介

  • 八千代産直は茨城県県西地域に属しています。この県西地域は広い平坦地となっており、周年に渡り野菜類の生産が盛んです。特に白菜は県内一の生産量を誇り、キャベツ・レタスなどの葉物野菜が盛んに生産されています。また メロン・スイカなどの生産も行われています。


八千代町の白菜キャラクター「八菜丸くん(はなまるくん)」

  • 産地の歩み
    1986年7月 茨城県有機農法研究会 設立
    1992年5月 茨城産直センタ-に改称(拠点を千代川村に移設)
    1995年2月 有限会社茨城産直設立
    2000年11月 茨城県環境保全型農業推進コンク-ルで優秀賞受賞
    2001年6月 所在地及び事務局を現住所に移転
    2002年6月 女性部設立
    2007年10月 青年部設立
    2017年4月 農事組合法人八千代産直設立(有限会社茨城産直から改名)
  • 生産者数;25軒、
    女性部;14名、青年部12名

②土壌医検定を選んだ理由

  • 研修会や学習会に参加して知識を習得してきました。土壌分析のために分析キットを産地で購入して、施肥設計を考えてきましたが、すべて理解したうえで取り組まなかったので、継続できませんでした。
  • 土づくりは、化学性だけではなく、物理性、そして自分たちのような有機質肥料を中心に栽培するには、生物性も理解しなければならないと考えました。
  • 出荷取引先の某生協が、産地支援の取り組みで土づくり学習会を定期的に開催してくれ、その中で土壌医検定をすすめられたことから、若手だけでも土壌医検定を受験することになりました。

③現在までの活用

  • 過去に実施した土壌分析結果から施肥設計が正しかったか検証した。
  • 堆肥の原料はどのような資材がよいか、また、製造工程はどうしたらよいかを検討した。
  • 適正な三相分布の土壌構造を作るための土づくりを研究した。
  • 生理障害が発生した場合に土壌診断を行い、原因を理解して共有した。
  • 栽培方法の違いによる品質や食味について検証し、適切な栽培方法を共有した。

④これからの活用

  • 定期的に土壌診断(化学性、物理性、生物性)を実施して、常に良い土壌状態を保つ。土壌診断機器を購入するか、外部委託で実施するか検討中。
  • 生育巡回調査を実施して、生育確認や病害虫発生状況の共有だけでなく、生理障害についても共有し、改善対策の検討会を実施する。
  • 栽培環境による品質・食味の違いを検証し、自分たちの農法を確立する。

⑤土壌医検定資格のランクアップ

  • 現在、土壌医検定合格者は、2級1名、3級9名。
  • 次回土壌医検定試験で、2級合格者は1級に挑戦、3級合格者は2級合格を目指す。